銘文 |
[正面]
従是 南 黒羽道 二里
[左]
従是 東 羽田道 約五丁
[裏面]
大正三年 十一月建立
平山酒造店
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備考 |
奥州街道の野間から羽田沼(長者ヶ池) に向かう道沿いに建つ道標。舗装道路から分岐する小道との叉にあり、建立主が「平山酒造店」となっている。
「黒羽道」は「立道」と呼ばれる道で、棚倉道を渡り、蜂巣、余瀬を経て黒羽に至る。現在の地形図上でも辿ることができる。
地形図で見ると「羽田道」方面の小道は「羽田パブリック」敷地の境界になっているようだが、かつては敷地内を抜け山際を通って藤形輪に向かっていたようだ。中世の城館跡を通ることから、かなり古い時代から存在する道だと思われる。
この道標の建立主、平山酒造は「藤の盛(ふじのもり)」の蔵元として有名な酒造店。明治4年(1871)創業で、日露戦争の戦勝記念で湧いた頃、東郷ビールと並んで流行った「乃木之誉」は平山酒造で作られた銘柄だ。建立の大正3年(1914)は、特に銘文にないがいわゆる「御大典記念」で建てられたものだろう。戦勝景気の余韻はまだ残っていたのだろうか。
(2008.3月撮影 )
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